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カレンダーガール

それはハッカ、これはにっき

荒野を歩け

拝啓

 

  私がこの文字で書き始めたということは、そうである、バイブル「恋文の技術」を手に入れ読み直したからに他ならない。本丸は手に入れられなかったとはいえ、これだけでも今日の旅は成功だといえるであろう。では、早速取るに足りない半日を綴ってみるとしよう。

 

 

  京都に住む黒髪乙女たるべく予定通り昼過ぎに悠々と家を出る...わけもなく、いつになくカールした横髪と四苦八苦していた。起床後鏡を覗き込み、おお芸術のようだこれぞ爆発、とひとしきり感嘆したあとせっせと整えるわけだが、どういうことか左側だけうまくまとまらぬ。時間が経てばなおるでしょう、と朝は諦めたが当然なおるはずもない。結局耳にかけて誤魔化すことで事なきを得て出発。

 

  本屋へ一軒行って家族連れやカップルを横目に桜を楽しみつつ鴨川沿いを歩いて20分ほど移動し二軒目で本を探したついでにタワレコに寄り試聴しまくり会計を済ますと6時であった。一息で書いたものだが、実に6時間ほどは本を探したり読んだり歌を聞いたりしていたわけである。足もくたくたで荷物もだいぶかさばってきたので、大手カフェへと立ち寄った。

 

  入ってみると、似たような年代の女子がわんさかといる。一人で来ている人は少ない。ちょうどよく空いていた端の席につく。

   話を聞く限り、前の女子大生、私と同じ大学の文系だと思われるが、他大学同大学の異性を赤裸々に批評している。隣の3人組は自撮りをして遊んでいる。私はそれらに気を取られつつ本を読んでいた。みんな女子大生である。私はこの事実に驚いた。片やスマホを手に、もう片やは古本とCDの束を抱え。

   ここからは電車で帰宅するだけである。なかなか締まりがないな。ここまで君が読んでくれる誠実な人であることを願う。

 

 

 

  ああそうだ、読んでくれたお礼に一応のセンパイとしてひとつアドバイスを。老害だとかやかましく思うであろうが先人の意見は聞くものだよ。

 

  君は理想の学生生活とはかけ離れた生活を送ることになるだろう。悩み迷いいばらの道をこれから進み、その先でいわゆる絶望を味わうことになる。

  ところがどっこい、そうなったところで君は何も変わりはしない。こうして毎度のように長文を書き、一人本屋とタワレコで時間とお金を溶かし、あの大学と鴨川沿いを歩き眺めるのが大好きなままであろう。

 

   流されて髪を染めたり変にキラキラしたりしなくていい。分からぬ異性批評や好かない自撮りもただあわせるためならせずともよい。君は黒髪乙女を目指せ。なれやしなくても目指すのは自由。

  これからよくわからぬ細道に突っ込んでいくと思うが前を向いて胸を張れ。ああ、君には張る胸がないな、真っ平ら。それもそのままだよ。残念だな。今の私も残念がっているよ。

 

                          一回りタフになった今の私より

 

一年前の春悩める子羊の私へ

 

追伸:"理由のない悲しみを 両膝に詰め込んで  荒野に独りで立って  あっちへふらふら またゆらゆらと歩むんだ  どこまでもどこまでも"