カレンダーガール

それはハッカ、これはにっき

旅立ち前夜

今日は国公立二次試験前日である。

すなわち、私が仮面を脱ぎ捨てて一年なのだ。

 

昨年受験したことについて驚くほど後悔がない。落ちたら無駄だったなぁと思うとばかり思っていたのに。仕方ない奴だなぁと自分に苦笑するだけ。

 

夏を過ぎるまでは辛かった。毎週末鴨川を見に行き、日が沈んで水面が黒くなるまでカップルが等間隔に並ぶ川べりに座り込み、せせらぎと弾き語りのリュウジが歌う海岸通りを聞いていた。

 

今日22時前に鴨川を通り過ぎた。まだ冷たい風が吹く2月末。夏前にはたくさんいた浴衣の観光客なんていない季節。ふと橋の下を見下ろすと、リュウジが歌っていた。川べりは寒い、カップルなんていなくて「なんか下さい」と書かれた黄色い札だけがリュウジの横で揺れていた。もう歌い終わったあとだったのか、今日は海岸通りは聞けなかった。

もう川べりには下りなくていいかな。そんな気分だった。

 

それまで取り組んできたことに見切りをつけるのは時として受け入れられないものだ。いくら結果として提示されても。

多分春も夏も引きずっていたのだろう。だけど今はもう完全に私の番は終わったのだ。そう思えたことに少しほっとした。思えば2月24日が試験前日じゃなくて、ちゃんとその日だと捉えられたのは数年ぶりだ。

 

受験生に春が来るように祈りながらちょっとだけ一年前の自分に思いを馳せ、駅へと歩を進めた。一年前の決断が良かったのかはわからないけれど、純粋に日々を楽しめる今日へと確かに繋がっていたのだ、大げさにそんなことを思った。

 

 

"忘れやしない  捨てたりしない  迫りくる明日に何を見つける"